改めて現代史を学びなおす必要性を強く促す本
この巻での個別の出来事は、私にとっては同時代的に触れる事が出来る範囲に該当する。しかし、この本は、それらを基にした理解が世界史の視点から見るととても偏ったものであると感じさせ、また、改めて現代史を学びなおす必要性を強く促すものであった。 この時代に共通した最も基本的な出来事は、それまでの時代に比べて、近代国民国家というものが政治の単位として決定的に大きな役割を占めることとなり、その国家の内及び外に住む人々に対して、良きにつけ悪しきにつけ甚大な影響を与えたという事だろう。
国家の利権とは何か
20世紀前半の歴史はまさにアジアにおける欧米の植民地主義からの解放の歴史といえる。さらにアジア、とりわけ中国における列強の貪欲な支配の歴史と言うことができる。その点で本書には、欧米人の目から見たアジア解放の歴史が示されており、アジア諸国が自らの主張を譲り合わない現在の状況を理解するうえで客観的な視点を学ぶ格好の入門書となりえる。ただし所々に欧米の白人至上主義的な思想が見え隠れする事は否めない。 元来歴史というものは常に二面性を呈しているため、このような歴史書では、核心を描けば描くほど柔軟性に乏しくなるものだが、本書では核心の判断を読者に委ねる事により、そのような危険性を回避している。例えば、国連憲章に人種平等宣言をもりこむ事を、欧米から拒否される事によって勢いづいた当時の日本の帝国主義は、結果からすればアジアを欧米の支配から解放する事になるが、その賛否の明言は避けられている。皮肉にも、国家の近代化が西洋型の自由主義を受け入れたか、あるいは拒絶したかに依存した事は、大変興味深い。 読者は本書を土台として、各国の利権とは何か、外交とは何かを学ぶ事ができるのではないだろうか。ただし残念な事に、本書には日中戦争時に撮影され1937年の「LIFE」に掲載された焼け野原で赤ん坊が一人泣いている有名な写真が掲載されている。この写真は中国による「やらせ」であった事は今や常識であるが、これを見ると情報操作というものがいかに歴史を歪めているかという一端を垣間見る事もできる。
創元社
図説 世界の歴史〈8〉帝国の時代 図説 世界の歴史〈10〉新たなる世界秩序を求めて 図説 世界の歴史〈7〉革命の時代 図説 世界の歴史〈6〉近代ヨーロッパ文明の成立 図説 世界の歴史〈5〉東アジアと中世ヨーロッパ
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